oneself 後編
煙草をくわえた斎藤さんに、あたしはすかさず火を差し出した。


「ありがとう」


今まで、煙草を吸う人って嫌いだった。


でも、あたしの点けた煙草をおいしそうに吸ってくれる斎藤さんには、不思議とそう思わなかった。


彼らは1時間の延長をし、焼酎のボトルをおろしてくれた。


「もう明日帰るのに、大丈夫なん?」


そう尋ねたあたしに、「月に一度はこっちに来るから」と、斎藤さんは答えた。


じゃあ、もう会えない訳じゃないんだ。


それを聞いて、ホッとする自分。


ボトルをおろすって事は、また来てくれるって事だよね?


正直、これが最後だと思うと、淋しかった。


何だろう、この気持ちは。


哲平いう彼氏がいながら、こんな風に思ってしまうなんて。


あたしは、少し酔っているのかも知れない。


でも、出会いはこんな場所だったとしても。


一期一会って言うじゃない。


斎藤さんが初めてのお客さんで、本当に良かったって。


そう心の底から、あたしは思ったんだ。


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