†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
屋上からの潜入に成功し、あたしと廉は慎重に中に入る。
シーン…と静まり返った建物内。
確か犯人はどの階にいるのか不明だったハズ。
気を付けなきゃ。
「樹里」
隣から廉が話し掛けてきた。
「何?」
あたしは返事をした。
「今、本部から連絡があった。犯人は1階にいるらしい。全員がだ」
「1階?でも…もしかしたら建物内を探索してるって可能性もある……よね?」
あたしがそう言うと、廉は“そうだな”と言った。
でも、とにかく情報は入った。
少しはやりやすくなった。
「下に降りるぞ」
「了解。」
廉はあたしより少し先を歩く。
あたしは銃を構えたまま、歩き出した。