†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
慎重に、慎重に歩みを進めていく。
どこから犯人が飛び出してくるかは分からない。
あたしは静かに息を吐いた。
その時。
「――樹里っ!!」
??
後ろから廉の大声がした。
あたしはびっくりして振り向く。
気付けば、あたしは廉に強く引っ張られていた。
――ババババッ!!
何かが連射される音がする。
すぐ傍の壁を見ると…何ヵ所にも空いた穴。
……銃弾の痕だ。
しかもたった今、付いたばかりの……。
「あ、ありがとっ…廉」
良かった…。
廉が助けてくれていなかったら…あたし、確実に死んでたよ。
「あぁ。ったく…この近くにもいるんだな。かなり散らばってんじゃねぇか……」
廉は困った顔をし、あたしを離した。