†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「廉、とにかく発砲してきた奴を探そう。……このあたしに発砲してくるなんて…いい度胸してるから」
あたしが低く囁くと、廉はびっくりしたようにあたしを見る。
「樹里……お前、意外と怖いんだな」
「はっ??」
「いや、今の言葉で見直したよ。樹里は見掛けによらず怖いな」
廉はニッと笑った。
あたしはなんだかムカついて、プイッと顔を背けた。
「廉、酷い。別れる!」
「あ?嘘だって、樹里。機嫌直せよ」
廉は面白がるように、あたしの背中をポンポンと叩く。
む〜!
なんなの!?いつもいつも大人の余裕かましちゃってさ!
――バンバン!
その時、いきなり建物内に銃声が響いた。
「……いたか」
廉は低く呟いた。
そして
「行くぞ、樹里」
そうあたしに言い、先に歩き出した。
あたしは“了解”と呟き、彼の後をついていった――…。