†危険な男†〜甘く苦い恋心〜

「……やめて、お願い。」




「あぁ?」




あたしは後ろから自分を拘束している犯人に言った。




「あたしはどうなってもいい。……けど…この人だけは…助けてあげてくれないかしら」




「――…樹里っ!!」




廉の大きな声がする。




聞くからに怒っている。




けど…




あたしは自分より、あなたの方が大事。




あたしは所詮……汚れてるから。




「ははっ!その野郎はテメェの男か?へっ、美しい話だぜ」




犯人は罵るように笑い出した。




……ホント馬鹿だわ、コイツ。




「ねぇ…あたし、あなたに抱かれてみたい。いいでしょ?別に」




あたしは犯人に甘えるように言った。




「おーおー…アンタみたいな美人に誘われちゃあ…拒めねぇな。おい、彼氏さんよ。あんた裏切られたみたいだぜ?」




犯人は廉に向かって馬鹿にしたような笑いを見せた。




……廉も気付いてる。




あたしが…コイツをハメようとしてること。




さすが廉だわ。




あなたみたいな優秀で頭のキレる男が恋人で…幸せ。




< 108 / 241 >

この作品をシェア

pagetop