†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「……やめて、お願い。」
「あぁ?」
あたしは後ろから自分を拘束している犯人に言った。
「あたしはどうなってもいい。……けど…この人だけは…助けてあげてくれないかしら」
「――…樹里っ!!」
廉の大きな声がする。
聞くからに怒っている。
けど…
あたしは自分より、あなたの方が大事。
あたしは所詮……汚れてるから。
「ははっ!その野郎はテメェの男か?へっ、美しい話だぜ」
犯人は罵るように笑い出した。
……ホント馬鹿だわ、コイツ。
「ねぇ…あたし、あなたに抱かれてみたい。いいでしょ?別に」
あたしは犯人に甘えるように言った。
「おーおー…アンタみたいな美人に誘われちゃあ…拒めねぇな。おい、彼氏さんよ。あんた裏切られたみたいだぜ?」
犯人は廉に向かって馬鹿にしたような笑いを見せた。
……廉も気付いてる。
あたしが…コイツをハメようとしてること。
さすが廉だわ。
あなたみたいな優秀で頭のキレる男が恋人で…幸せ。