†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「適当に座ってて。今お茶用意するから!」
お母さんはニコニコしながらキッチンに入っていく。
「あ、廉…座ってよ?」
「あぁ。」
あたしは廉をソファに促した。
2人でソファに座り、母を待つ。
すると廉が口を開いた。
「樹里のお袋さん、綺麗な人だな」
「えっ?」
あたしは目を大きく開いた。
廉はクスッと笑い、あたしの頬に触れた。
「やっぱりお前に似てるよな。目とか鼻筋とか……美人って遺伝するんだな」
優しく、愛しむように頬を撫でられ、あたしの顔はたちまち赤くなっていく。
細くて長い、綺麗な指。
骨張ったゴツゴツした手。
大きくて温かくて、男らしい……大好きな廉の手。
「れ、ん……」
あたしは恥ずかしくなり、ギュッと膝の上で手を握った。