†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「樹里…こっち向けよ」
「……?」
あたしは彼の胸に手をつき、顔を上げた。
廉はあたしの肩をグッと引き寄せ、首筋に唇を押し当てた。
「……っ、ぁ…」
チュ、と首筋を吸われ、あたしは甘い吐息を漏らした。
「樹里、可愛い…」
廉が首元で喋るから、身体中に振動が伝わる。
優美なその感覚に、あたしはゾクリと反応した。
「や…しゃべん、ないで…な、んか……変に、なりそ…」
あたしはハァ…と息を漏らし、ギュッと彼の大きな背中にしがみ付いた。
首筋から下に下がる唇。
鎖骨や胸元に這う舌。
あたしは完全に廉に溺れていた。