†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
義父は何も言おうとはしない。
ただ…何かに怯えるようにあたしを上目遣いで見てくる。
「なんか言ったらどうなの?あんたはあたしにこれっぽっちも“申し訳なかった”って気持ちはないワケ?」
あたしはキッと義父を睨み付けた。
許さない。
あたしは、コイツを…。
すると義父は小さく話し出す。
「あ、あの時のことは…悪かったと思ってる…。すまなかった…あの頃は頭が狂っていたんだ、きっと……」
「……………」
なんだよ、それ。
頭が狂ってた。
だからあたしを犯した。
――…ふざ、けるな…。
「……ざけんなよ…」
「え?」
義父は焦ったようにあたしを見る。
「ふざけんなって言ってんだよ!!なんだよ、その理由は!!?」
あたしは勢い良く、義父に殴り掛かった。
「うわっ!ま、待て樹里!!」
「うるせぇよ!黙ってな!!」
あたしはバキッ!と義父の右頬を殴った。
「ぐはっ!!ゆ、許し…」
床に倒れ、口から血を流しながら、あたしを見上げる義父。
その姿すら……憎らしい。