†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
ダメだよ、廉…。
まだ、お母さんには……
「樹里。黙ってても同じなんだ。言える時にちゃんと言わねぇと。いつまでも黙ってるつもりか?」
廉にそう言われて、あたしはグッと言葉を呑み込んだ。
確かに……そうだ。
いつまでもこの事実を隠して生きていくのは嫌。
いつかは言わなきゃいけないって思ってはいたけど……
「でもっ…!何も今日言わなくてもっ……」
「樹里」
あたしの言葉を遮るように、お母さんがあたしを呼んだ。
その声は…悲しみに暮れていた。
「な、に…?」
「あなたは…本当に拓真さんにずっと……?」
“信じたくない”
お母さんの言葉からは、そんな気持ちが滲み出ていた。
でも…ここまで来たら誤魔化すワケにはいかない。
どんなに残酷だろうと……真実だけを話さなくては。
「……そうだよ。あたし…5年間、お義父さんに無理矢理セックスさせられてたの」
あぁ…
もう、消えてしまいたい。