†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「初めてあの人にヤられたは…お母さんが再婚したばかりの頃。いきなりあたしの部屋に入ってきて……あたしをベッドに押し倒した。それで殴られて、暴言を吐かれて………犯された。」
「……っ…!!」
お母さんは驚きを隠せないようだった。
「それから…頻繁に犯されるようになった。お母さんが家にいない間に。毎日が地獄だった。夜になる度、震えが止まらなくなって……死ねたらどんなに楽だろうって…何度考えたか分からない。今でもあの日の記憶がフラッシュバックして、うなされる夜もある。だからっ……あたし…」
知らぬ間にガタガタと震えていたあたしの体を、フワリと温かい腕が包み込んだ。
「樹里、もういい。もう……いいから。」
廉はあたしの後頭部を押さえ、自分の胸に押し付けた。
フワリと香る廉の匂い。
力強い腕。
温かな体温。
「……っ…うぅ〜…」
あたしは堪えきれず、涙を流した。
廉は何も言わず、あたしを優しく抱き締めていてくれた。
ごめんね、お母さん。
お母さんも混乱してるハズなのに……言葉の1つすら、掛けてあげられない。
でも…今のあたしに、そんな余裕がある筈がなかった。
「樹里っ…!ごめんなさい、ごめんなさい……!!」
いきなりお母さんが土下座をした。
あたしはびっくりして廉の胸から顔を上げた。