†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「お袋さん、過去の過ちを今さら後悔しても仕方ないんですよ。だから……これからは今まで以上に樹里さんを愛してあげて下さい。彼女はとても素敵な女性ですから。俺にはもったいないくらい」
廉はクスクスと微笑んだ。
「えぇ……ありがとう。廉くん…」
お母さんは涙でぐしゃぐしゃになった笑顔で笑った。
ありがとう、廉。
あなたのおかげで…あたし達親子は上手くやれそうだよ。
「樹里、大丈夫か?」
「えっ?」
帰る時間になり、車に乗り込むと廉が心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。
「いや…ほら、あんなことあったばっかだからさ」
廉はばつが悪そうな顔で、あたしにそう言う。
「ううん。廉のおかげでちゃんとお母さんに言えたんだよ?……ありがとね?廉…」
あたしはギュッと廉の大きな手を握った。