†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「……っ…あたしのせいで…」
「だからそれは違うって…」
「違わないよ!!」
いきなりのあたしの大声に驚いたのか、廉は目を丸くした。
あたしはギュッと掌に肉が食い込むくらい、強く手を握った。
「……あたしが…もっとちゃんとしてれば…岡田くんはあんな目には遭わずに済んだ。しかも、心破裂なんて…あたしっ……ヒック…どうしたら、いいか…」
悲しみが堪えきれなくて、涙が出てきた。
するといきなり廉に抱き締められた。
「聞け、樹里」
廉はあたしを宥めるように背中を擦る。
でも…今は……。
「やっ…!離し……」
「今回のことは!!」
廉の低く、迫力のある声が体に響き、ビクッと反応した。
「今回のことは……お前が悪いんじゃない。事故だ。俺達ならいつだって有り得ることなんだよ」
「……っ…でも…」
「岡田は…仲間を守りたかった。ただそれだけだったんじゃないのか?」
「仲、間…?」
「あぁ」
廉は真剣な声だった。
「自分を犠牲にしてでも仲間を守る。……アイツはそういう奴なんだよ。お前によく似ている」
ギュッと更に強く抱き締められ、あたしは彼にしがみ付いた。