†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「れ、廉っ…ほら!行かなきゃ…」
「まだ足りねぇけど…仕方ねぇか……行くか」
廉は残念そうにあたしの頭を撫でて、離れた。
あたしと廉は肩を並べて岡田くんの病室に向かった。
「――…ここだな」
廉はある病室の前に立ち止まった。
ネームプレートには…“岡田優真”と書かれている。
「入るぞ」
廉は病室の扉を開けようとする。
「ま、待って……」
あたしはギュッと廉の腕を握った。
やっぱり…まだあんまり決心が着かない。
どうしよう。どうしよう……
「……樹里。大丈夫だから」
廉は優しくあたしの手を握り返してくれた。
あたしはそっと彼を見上げる。
優しく、愛しむようにあたしを見下ろす彼。
逃げてちゃダメだ。
――行こう。
あたしはギュッと廉にしがみ付く。
廉は了解したように…病室の扉を開けた。