†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
病室に入ると……目の前に飛び込んできたのは、口には呼吸器を付けられ、身体中に機械が付けられている…岡田くんの姿。
そして胸には…手術の傷をカバーしてあるガーゼ。
あたしは思わず立ち眩みしそうになった。
「樹里、大丈夫か?」
廉はあたしを咄嗟に支えてくれた。
あたしは彼の腕に身を任せてしまった。
……立っていられない。
あたし…どうすればいいの?
「……あら、あなた達は…」
後ろから声がして、あたしと廉は振り返った。
そこにいたのは…トートバックを持った綺麗な女性だった。
「あ……」
あたしは思わず声を漏らした。
「岡田さんのお袋さんですか?」
廉が静かに口を開いた。
「え…えぇ。そうですけど…あなた達は……もしかして優真の?」
「はい。岡田さんと同じ部署の人間です」
廉が頭を下げたので、あたしも頭を下げた。