†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「今回の事件は…俺達が油断してしまったせいもあります。本当に申し訳ありませんでした」
廉は真剣な声でそう言い、再び頭を下げる。
「いいのよ、これは事故。誰のせいでもないわ」
岡田くんのお母さんは泣き腫らした目をハンカチで拭いた。
あたしは…震える体を押さえることは出来なかった。
「……すみませんでした…。全部…あたしが悪いんです…」
あたしは消えそうな声で呟いた。
廉が凍りついたような表情であたしを見る。
「あ、あなた…何言ってるの?優真は……」
「樹里、やめろ。」
「やめろって…ホントのこと言ってるだけじゃない。岡田くんはあたしのせいで大怪我をした。紛れもない事実でしょう?」
病室が静まり返る。
廉はハー…と溜め息を吐いた。
岡田くんのお母さんは驚きを隠せないみたいだ。
「……岡田くんは…犯人に殺られそうになったあたしを庇ってくれたんです。あたしがもっと優秀だったら…岡田くんはこんな怪我をせずに済みました。全部全部あたしが悪いんです……!!」
あたしは泣きそうになるのを堪えた。
身体中、機械だらけの岡田くんを見ていると…申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。
ごめんね、廉。
あたしやっぱり自分を責めずにはいられない……。
「……あなた…お名前は…?」
岡田くんのお母さんは恐る恐る聞いてくる。