†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
別れ
しばらくして病室の扉が開いた。
「もう大丈夫ですよ。入って頂いて良いですよ」
看護師さんはニコッと優しく微笑んだ。
あたし達は急いで中に入る。
岡田くんは苦しそうにしながらも、うっすら目を開けていた。
酸素マスクや機械はそのままだった。
「……母さん…と…宮崎、に…雨宮……か?」
「優真っ!大丈夫!?傷は痛む!?」
岡田くんのお母さんは泣きながら、そう彼に話し掛ける。
「あぁ……ちょっと、な…。大した、こと…ねぇ…から……っく…」
岡田くんは苦痛に顔を歪め、苦しそうに胸元を握った。
そう…心破裂の手術跡だ。
「優真っ…痛むの?お医者さん呼ぼうか!?」
「いや…大丈夫、だから……心配、するなよ…」
岡田くんは無理に作った笑顔を、あたし達に向けてきた。
あたしは…たまらず岡田くんに駆け寄った。
「岡田くんっ…!ごめんね…!?あたしのせいで……っ…こんなことになっちゃって……」
あたしは涙ぐみながら、ベッドに手を掛けた。
岡田くんはゆっくりと、あたしの方に顔を向けてきた。
「宮崎は……悪く、ねぇよ…。俺が…勝手に…やっただけ、だ…。だから……気に、するな…」
岡田くんはあたしを安心させるように微笑む。
その笑顔に…あたしは胸が痛くなった。