†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「……岡田」
廉があたしの隣に並んだ。
「お前がこんな怪我をしたのには…俺にだって責任はある。元はと言えば、俺がいるハズのポジションだった。もっと早く駆け付けられてたら……お前は無事だったかもしれないのに」
「廉……」
廉も…そんなふうに思ってたんだ。
心の中では…自分を責めていたんだ。
「……お前の…せいじゃ、ねぇよ…気に、すんな…。」
岡田くんは廉を見据えた。
「と、にかく…明日、も…仕事……だろ?…帰ったほうが…いいんじゃ、ない…か…?」
岡田くんは途切れ途切れに言葉を繋ぐ。
こんな時でも仕事の心配をするなんて……
岡田くん、真面目すぎるよ。
「……でも、」
「いい、から…今日は……帰ったほうが、いい…。俺が…いない分……頑張って、くれ…よ…?」
岡田くんはあたしの言葉を遮るようにそう言った。
廉も苦しそうな顔をしている。
「……分かった。じゃあ今日の所は帰ろう。樹里」
廉はあたしの背中を軽く叩く。
あたしは小さく頷いた。
「お2人とも、今日は本当にありがとうね。また来てちょうだい」
岡田くんのお母さんは優しい笑顔をあたし達に向けてきた。
「はい。ありがとうございました…。失礼致します」
挨拶を返すと、あたしと廉は病室を出た。