†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
色を失った世界
「――樹里っ!?どうしたのよ、その顔……」
「美姫さん…」
翌日、あたしは泣きすぎてダルい体を無理矢理動かして仕事に来た。
あれから…あたしはひたすら泣いていた。
身体中の水分、全部出ちゃったんじゃないかって思うくらい……泣いた。
それくらい…あたしにとって廉は大切な存在なんだと、改めて知らされた。
……それは、今も変わらない。
「……後にしてもらってもいいですか…?今話したら…この場で泣きそうです」
あたしは俯きながらそう呟く。
「別に構わないけど…大丈夫なの?」
美姫さんは心配そうに聞いてきた。
あたしはコクリとゆっくり頷く。
その時。
「――おはようございます」
ビクッと体が震える。
あたしがこの声を忘れるハズがない。
今でも愛しくてたまらない。
「あら、おはよう。雨宮くん」
そこにいたのは、廉だった。