†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
少しして唇が離れ、あたしと廉は見つめ合う。
……ダメだ…。
このままじゃ、あたし…。
「樹里、岡田のことなら俺にだって責任があるんだぞ?」
「……え…?」
あたしはその言葉にキョトンとする。
「俺はあの日…私用があって抜けていた。もしもあの時…俺が現場に一緒にいたら……岡田は助かっていたかもしれない。」
「…………」
あたしは…何も言えなかった。
廉も……自分を責めてたんだ。
仲間のピンチを救えなかった虚しさに。
「でもっ…あたしは……」
「もしそれでも――…お前が岡田と一緒になりたいって言うんなら……俺は何も言わない。」
「……え…?」
廉の言葉に心臓がドクンと鳴った。
「俺はお前に幸せになって欲しい。ただそれだけだ」
廉は優しい笑顔でそう言った。
嫌だよ……別れたくない。
別れたくない……!!
「……ッ…ヒック…れ、ん…」
「じゅ、樹里!?」
あたしは涙を堪えきれず、泣き出してしまった。