†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「あたしだってっ…別れ、たくない……」
あたしは嗚咽混じりにそう呟いた。
「樹里……」
「好き……」
あたしは背伸びをし、廉の頬を両手で包み込んだ。
「あなたが好き…。別れたくなんかないの……」
廉の頬を包んでいる手が震える。
大好きな人の肌の感触。
離したくない、大事な温もり……。
「……なら…どうして俺に別れようなんて…」
「……っ…そう…だよね…」
あたしはスッと彼から離れる。
もう……今さら遅い?
「違う。勘違いするな、樹里。お前が岡田のことを思って俺に別れを告げたことくらい、分かってる」
廉はあたしの肩を掴んだ。
「え…?」
「俺だってお前が好きだ。好きなんて言葉じゃ表せねぇ……愛してるんだ、お前を」
「……っ、廉…」
すごく嬉しいよ。
けど…けど……
あたしは……。