†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「い、いやっ…!」
「樹里?」
あたしはバッと頭を抱えた。
怖い。
やっぱりあたし…男の人に触られるのが怖いんだ。
カタカタと震え始める体。
雨宮さんはスッとあたしから離れる。
「悪かった。やり過ぎたな」
申し訳なさそうに謝ってきた。
「い、いえ…あたしが……悪いので」
雨宮さんは困ったように笑い、車を走らせた。
「樹里の家の住所、教えてくれよ」
「あ…はい…。」
あたしは震える唇で住所を言った。
雨宮さん……
案外、優しいんだ。
何も聞かずにいてくれた彼に、あたしは少しだけ安心していた。