†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
病室を出た後、外を歩いているとビュウッと冷たい風が吹いた。
「……っ…寒…」
あたしは小さく体を震わせた。
「――風邪引くぞ。」
……え?
後ろから頬に温かい物体が当てられた。
そこにいたのは……
紛れもない、あたしの愛しい人。
「廉……」
小さく彼の名前を口にすれば、じわりと涙が出そうになった。
「ったく…何やってんだよ、お前は。只でさえ冷え性なんだから気を付けろよな」
廉はあたしの頬に当てたホットミルクティーを手渡してきた。
「……なんで…」
「うん?」
優しく相づちを打つ彼。
あたしはギュッとミルクティーの缶を握った。
「なんで…あたしに構うの?もうあたしは、廉の彼女じゃないのに……。」
“もう廉の彼女じゃない”
自分で言った言葉が…容赦なく心をズタズタにしていく。
すると廉は困ったように笑い、グイッとあたしを引き寄せた。