†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「あぁ…水樹ね。えぇ。あの子は優秀なSAT隊員だったわよ」
美姫さんは懐かしむように言った。
「なんで…SATを辞めたんですか?」
どうしても気になる。
あんなに実力のある人がSP止まりなんて。
あの人くらいの力があれば…SATの総司令官になることくらい、お安い御用なハズだ。
「う〜ん…。あのね。SPから誘いが来たのよ……水樹に」
「SPから?」
「えぇ。水樹はSATの中でも1位2位を争う実力者だったわ。他の男性隊員なんて敵わなかったもの」
「……………」
「あの頃のSATでは…優輝と水樹、そして水樹の旦那さんがトップを争っていたのよ」
「戸田さんの…旦那さん?」
あたしは聞き返した。
「そうよ。戸田潤。彼も今は警護第三係の係長よ」