†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
雨宮さんの挨拶が終わり、みんな訓練に向かおうとしていた。
あたしも準備をしに女子更衣室に行こうとオフィスを出た。
その時。
「樹里」
ビクッ!
あたしはあからさまに体を震わせた。
あたしのことを呼び捨てする男なんて…1人しかいない。
あたしはゆっくり振り返る。
「……雨宮さん…」
彼を見て、小さく呟いた。
「なんだ、お前SATだったの?女なのにヤバイな」
雨宮さんはクックッと喉を鳴らす。
「……別に。女だろうと男だろうと関係ありませんから」
あたしは冷たくそう言い放ち、歩き出そうとした。
なのに。
「おい、ちょっと待てよ」
ガシリと腕を掴まれ、行く手を阻まれる。
はぁ。
何なの、いったい。
あたしは顔を歪めた。