†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
蘇る恐怖と悪夢
――SAT専用訓練場。
「樹里、遅かったじゃない。何してたの?」
「えっ…」
美姫さんの言葉に、あたしは懸垂を一旦中止してしまった。
あの後、あたしは結局“アイツ”のせいで整列に遅れるハメになってしまった。
しかもご丁寧にアイツまで。
あげくの果て、司令官には怒られるし、みんなからは冷やかしの視線を感じるし。
ったく!
どうしてくれんのよ!
もしみんなに変な誤解されたら!
「ち、ちょっとトイレに行ってて…」
あたしは、なんともわざとらしい嘘を付いた。