†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「樹里、どうかしたか?」
「えっ」
ランニングを終え、水分補給をしていると雨宮さんが話し掛けてきた。
「べ、別に何も……」
あたしはプイッと顔を背けた。
「嘘付くなよ。見るからに様子おかしいぞ?お前」
雨宮さんは心配そうに眉を潜める。
なんで…あたしにかまうの。
あなたになんて…頼らない。
「うるさいな。あたしのことは放っておいてよ…別に彼氏でもないんだし、とやかく言われたくないの」
あたしはキッパリと言い切った。
「……樹里」
「とにかく必要以上にあたしに話し掛けないでくれるかな…。みんなに変に誤解とかされたくないし」
「……………」
雨宮さんが黙ったのを見ると、あたしは腹筋でもしようと思い、歩き出す。
「待て」
だが、グッと強く腕を掴まれてしまう。