†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「――おい、何してんだ」
え…?
この声って……まさか…。
「あ、雨宮!!?ぐあっ」
バキッ!!という鈍い音と共に、変態男は床に倒れ込んだ。
雨宮、さん…?
あたしは目をパチパチさせながら起き上がる。
「樹里、大丈夫か?」
雨宮さんは自分が羽織っていた上着をあたしに掛けてくれた。
あたしの体は安心からか、力が抜ける。
「あ…あり、がと…。助かった…わ……」
あたしはゆっくりとテーブルから降りた。
なのに、震える足のせいで体のバランスを崩してしまった。
「きゃっ…」
倒れる!
そう思っていたのに、あたしの体はいとも簡単に雨宮さんの腕に支えられた。