†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
『おやおや…泣いてるのか?ふふ、そんなに泣かれたら……ますます興奮するなぁ…』
『いやぁっ…!!』
ドクンッ!!
嫌だ。嫌だ。
思い出したくない。
あんなのっ…
あんなのっ……!!
「やっ!ま、待って…」
「樹里…?」
雨宮さんがあたしの着ていたニットワンピに手を掛けたので、あたしは咄嗟に止めた。
次第にあたしの体は小刻みに震え始めた。
「悪い、まだ怖かったか?」
雨宮さんはあたしに起きた事を察知したのか、優しく抱き起こしてくれた。
カタカタと震える体。
あたしは必死に震えを止めようとした。
あたし…最低だ。
好きな人を拒むなんて。