†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
司令官は次々と命令を下し、全員装備を持って移動になった。
もしかしたら、あたしは今日の任務で死ぬかもしれない。
大怪我をするかもしれない。
でも…そんなことで怯えていたら、この仕事は続かない。
普通の人間だったら気が狂いそうになるわよね。
あたしはフッと微かに笑った。
「樹里、俺が先に行くから」
「分かった。気を付けてね」
あたしは救命策発射銃の引き金を引き、屋上にロープを引っ掛けた。
廉はあたしにそう言うと、先に上り始めた。
あたしは下からその様子を伺う。
横から敵が襲ってきたりしないか…狙撃してくる奴がいないか。
頭の中はそればかりだった。
すると、無線に声が入ってきた。
『ロープ固定完了。』
廉の声を聞き、あたしも返す。
「宮崎、了解。』
あたしはロープに手を掛け、上り始めた。