†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
廉はロープをしっかり握り、押さえていてくれる。
あたしは必死で上った。
ロープを使って屋上まで上がるというのは、かなり体力を使う。
あたしはいつもロープの訓練で苦戦していた。
でも、なんとか上りきり、あたしは屋上に到着した。
「頑張ったな、樹里」
廉はニッと笑う。
「そ、そんなこと言ってないで早く行くよ!人質がいるんだから」
その得意気な綺麗な顔がなんだかムカついて、あたしはフイッと顔を背けた。
廉は可笑しそうに笑いながら、
「了解。」
と言った。
ったく…。
廉っていったい何なの?
いつも簡単に…あたしを惑わせるんだから。