夕 月 夜
「百合香はもう、寂しくないわね」
昴様は、そう呟いて私達を送った。
鈴音の部屋の窓から見える庭の片隅へ鈴音とやって来た。
月がよく見える場所。
鈴音は、近くにあった石を手にとって穴を掘った。
私は ただ見つめていただけだった。
鈴音の手先はあっという間に土がまみれていた。
鈴音は、浅く掘った穴に御守りを入れて、土を掛けて埋めた。
そして、山になった部分に扇子を差した。
「百合香お姉様、安らかにお眠り下さい…」
そう呟いて、鈴音は目を閉じ合掌した。
私も手を合わせて祈った。
ご冥福をお祈りいたします…