夕 月 夜

なんだかな~。


何か…
オレ自身も
やわらかい感じだぜ。




あの日
オレが健太郎をあそこへ連れてったのは、正解だったんだな きっと。


ただ なんとなくだけどな。


ほんのちょっと危ない遊びを覚えたら、アイツの心が解放される気がしたんだよ。



オレも優一も健太郎も、次男坊だ。

だが…
健太郎の兄貴が逃げた。
兄貴だけじゃない、母親もだ。


だからアイツは仲村家の跡取りとして、縛られてた。



アイツは、剣術の師範になる夢を持って、毎日鍛錬していた。

その夢は、もう叶わない。


どれほど
失意の底に佇んでたんだか…。

そんなアイツをオレと優一は、見ていられなかった。



< 120 / 278 >

この作品をシェア

pagetop