夕 月 夜



クスッ。


微笑ましいって、このコトを言うのかしら?

こっちまで、楽しくなってきたような錯覚がするわ。



鈴音の自然な笑い声を初めて聞けた気がした。


相手は、あの仲村様ね。


二人が初めて出会った時は本当のところ、心配で心配で仕方なかった。


だけど今は、そんな心配も無用ね。



仲村様は、私が思っていたより、良いヒトだった。


ヒトは見た目や第一印象なんてモノで先入観を持ってはいけないのね。



私はまた、自分の部屋へ向かって歩き出した。





幸せな時間なら、長く続いてあげて欲しい…。


初めて、そう思った瞬間だった。


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