夕 月 夜
「…嫌‥だ…」
私の口から零れた本音。
お姉様は、クスッと笑った。
「鈴音の気持ち、やっと聞けたわ」
私の気持ち?
健太郎に会いたい…
でも、一日が始まって欲しくない…
「お姉様。鈴音は…
ワガママですか」
お姉様は、そっと抱きしめてくれた。
温かくて、お姉様の匂いがする。
「いいえ、ワガママなんかじゃないわ。
ずっと、心配だったの…。
鈴音は幼い頃から、自分の気持ちを声に表すコトをしなかったから、私はとても嬉しい」
心地いい…
お母さんって、こんな感じなのかな?
「お姉様…」
「鈴音、私は結構昔からココで働いている。
たくさんのヒトに会ったわ。
一緒に働く仲間と、協力し合わない時なんてなかったと思う。