夕 月 夜


「なぜ 泣いているんだ?」


指でそっと、涙を拭ってやる。



「何でも…ないの…」


弱々しい声。
その泣き顔は、普段見る事の出来ない 少女の顔だった。


どうする事も出来ない俺。



ただ 抱きしめてやる事しか出来ない。



「健太郎…。

好きだよぉ…

ずっと ずっと 好きだよぉ…」



まるで幼い子供のように、鈴音は泣いていた。



「待ってるから…

いつまでも ずっと待ってるから…」



「ああ、いつか一人前になって、お前を迎えに来る。 約束だ」




お互いに小指を絡め合う、誰もが一度はする約束と言う名の指切り。


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