夕 月 夜
「悲しい…ですか?」
私は思わず、昴様にそう聞いてしまった。
「悲しくなんてないわ。
だけどね、有月。
遠く離れたとしても、幸せそうに旅立ってゆけたなら、寂しいけれど…
“ずっと幸せに…”
って思っていられるから、悲しくなんてならないのよ」
誰かのために祈るコト
誰かのためを想うコト
「さぁ、有月。
みんなで、幸せになりましょう」
みんなで。
不平等な世の中だから、ヒトはこんなにも儚い生き物だって知る。
どんなに遠く離れても
いつか また…
また会えたらいい
そして その瞬間が
みんなの“幸福”になって欲しい…。
私のそんな気持ちが、涙と一緒に溢れ出した夜だった。