夕 月 夜
「それだけの意志があれば、もう大丈夫だね。
無駄な心配だったみたいだよ、龍馬」
「だな」
龍馬と優一は、俺の肩に手を乗せた。
「男なら、男らしく己の道を進め。
愛した女を泣かして奪い取れ、健太郎」
龍馬の強い眼差しは、真っ直ぐに俺を見つめていた。
「鈴音は、きっと待ってる筈だよ」
優一の優しくも強い声は、俺に何かを打ち込んだ。
「行け」
「行くんだ」
二人の声が重なったと同時に、二人は俺の肩を押した。
俺は反射的に背を向けて走り出した。
そう…
鈴音の元へ。