夕 月 夜
――スススッ。
「鈴音、具合はどう?」
「だいぶ、落ち着きました」
昴お姉様が、合間をぬって様子を見に来てくれた。
「そう、良かったわ。
今日も大人しくしてなさいね」
また来るわね。と、昴お姉様は忙しそうに戻って行った。
しのげない退屈な時間。
独りって、やっぱり寂しい。
「あ…」
窓の向こうをぼんやり眺めていたら、とあるモノが目に入った。
「百合香お姉様…」
そう、窓から見えたのは庭の片隅の百合香お姉様のお墓。
今日も、百合の花が添えられてる。
度々、相馬様がやって来て、手を合わせてる。
そういえば最近、私は手を合わせに行ってない…