夕 月 夜



鈴音が居たら、健太郎は幸せに成れないんだよ!!


健太郎は…

あの大きなお家を継いで、陽のあたるところで幸せになるんだよ!」



私は、所詮薄汚れた金目当ての遊女だもの…


「…ない」


え…?


健太郎の腕の力が、ギュッと強くなった。



「そんなの関係ない!
俺の幸せは俺が決めるモノだ!!

親父にも、他の誰にも…

俺の幸せを決める権利なんかない。

ましてや、俺はあんな家を継ぐ気なんか更々ない。

俺はお前さえ居てくれれば、もう何も必要ない」



ダメ、負けちゃ…



「健太郎と鈴音は、住む世界が違いすぎるよ…」


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