夕 月 夜
嫌だ、健太郎…
そんな切ない顔しないで…。
「好きだよ…
どうしようもないくらい、健太郎が好き。
ずっと 一緒に居たい」
もう 我慢出来ない。
私は健太郎の着物の袖を掴んで、抱きついた。
健太郎は強くも優しく抱きしめてくれてた。
「鈴音、ココを出よう。
誰も知り合いなど居ない、遠く遠く離れた土地で一緒に暮らそう」
誰も居ない、遠く離れた土地へ…?
「それって…」
逃亡するってコト?
「大丈夫だ。
俺がお前を守ってみせる。
誰も、俺達を引き離す事は出来ない」
「連れて行って…
私を一緒に、ココから連れ出して」
連れ出して欲しい、私をココから。