夕 月 夜


私の身体は、きっともうすぐ朽ち果ててしまう…


もし、健太郎と一緒に居れたとしても

私は健太郎を独り、残してしまう…。


そう考えたら、ああやって健太郎を突き離した方が、健太郎にも私にも楽だと思ってた。


それなのに…


『後悔だけはしないで欲しいの』


昴お姉様の言葉が、今になって強く響くの…。



どうせ終わってしまうなら…

終わるその時まで、健太郎の傍に居たい…。


自分勝手なのは、解ってる。


だけど、健太郎は私が最初で最後に愛したヒトだから…


愛したヒトの腕の中で、短かった時間を終わらせたい…。




「明日の晩。
あの丘で待っている。

準備が出来たら、そこに来てくれ…」



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