夕 月 夜
裏切り
ココを出るというコトは、そういうコト。
百合香様のように、命を落としてしまう…。
鈴音が死んでしまう。
そんなの嫌だ。
でも…
鈴音はココを出れば、仲村様と幸せになれる。
「はい、分かっているつもりです」
少し間を空けて、鈴音から返事が返ってきた。
私は何も言えずに、ただ黙ってた。
「自分で決めたコトなの?」
真っ直ぐ強い目が、私と昴様を見つめる。
「健太郎と、二人で決めました」
昴様と鈴音は、じっと見つめ合っていた。
私はそれを、ただ見ているだけ。
「後悔は、しないわね?」
「はい」
鈴音の決意が、弱いモノじゃないコトが分かる。