夕 月 夜


「和葉ぁ!!」

すぐ隣りの部屋か、和葉の悲鳴が聞こえる!


「オリャァッ!」


ささっと敵を斬りつけて、二人で廊下に出た時だった。



「孝太郎兄さん!?」

「やぁ 久しぶりだね」

「何であんたがこんなとこに…」


行方を眩ましていた健太郎の兄貴と会った。

どうやら、兄貴も刀片手に返り血を浴びて、オレらと同じ状況らしいな。

「詳しい話は後だ。
先に、この騒ぎを鎮めなければ」



――「フハハハハハッ、馬鹿者共が。
お前らなんぞには、鎮められまい」



高笑いしながら姿を表したのは、仕向けた張本人。


「親父、自分が何してるのか分かってるのか!?」


兄貴の怒りに満ちた声が響く。


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