夕 月 夜



健太郎なら、きっと助けてくれる…


健太郎 早く…
早くみんなを助けて…



「ウゥッ…ゲホッ」


ポタ ポタポタ。



私が進んで来た道には、染みが出来ていた。




あと少し あと少し…


だんだん、身体全体が重たくなってきた。



夜だからかなぁ…


目の前の景色が、ぼやけて見えるよ。




「…ッゲホッゲホッ」



もうすぐ もうすぐ…




ほら


森を抜けたら、月がよく見える丘


たった一つ見える、あの人影は


きっと…


健太郎の背中


「健太郎…」



私はそのまま、倒れた。


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