最後の恋
『ふぁ〜あっ』
1人で乗っていたエレベーターで、大きなあくびをしながら鏡を見つめた。
やばい、顔めちゃくちゃむくんでる。
昨日椎名と一時間も長電話して…
それからお風呂に入ったら目が覚めちゃって…
結局睡眠時間二時間半だもんなー。
そりゃ顔もむくむよなー。
ゆっくりとエレベーターの扉が開くと、私は重い足取りで歩き出した。
まだ火曜だし…
長いなー金曜日まで。
テンションが上がらないまま廊下を進み、総務部のドアを開けると真っ直ぐに自分のデスクに到着した。
はぁっ……
仕方ない。やりますか。
と、パソコンを開いた時だった。
『おはようございます〜』
早川さんの声が、背後から聞こえた。
『お、はよーう』
振り返らないままそう返した私の後ろで、早川さんは言葉を続ける。
『昨日用事あったから帰ったんじゃなかったんですかぁ⁉』
『えっ⁉』
私は慌てて椅子ごとくるっと振り返った。