最後の恋


街中を手を繋いで歩くなんて何年ぶりだろう。

サトルと付き合っていた三年間でも、別れるまでの一年はほとんど手なんて繋いでいなかった。


慣れは怖い。

付き合い始めはきっと誰もがこんな風に手を繋いだり触れ合いたいと思うものなのに、付き合いが長くなるにつれてそんな思いも減っていた。


時間が人を変えてしまうのかな。



「莉奈さんの手めっちゃ冷たい」


「そう?」


歩きながら合う目と目。


「うん、冷たい。寒い?」


聞かれながらギュッと握られた手が温かくて。


「大丈夫。全然寒くないよ」


伝わってくる体温を感じながら私は笑顔でそう答えた。

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