最後の恋
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過去にこだわって気にしていたのは私だった。
何かにつけてサトルはこうだったとか、サトルはこんな感じだったとか。
未練たらしくいちいち考えてしまったりして。
きっと椎名はそんな私に気付いていたんだと思う。
きっと、付き合いだした時からずっと…
悩んで迷って、立ち止まって振り返る私に、ずっと気付きながら一緒にいてくれんだと思う。
だとしたら私は、一体どれだけ椎名を傷つけたんだろう。
「本気で付き合うわけないやん。勘弁してや」
あの時あの瞬間、どれだけ傷つきながら私に言ったんだろう。
「お幸せに、莉奈さん」
どれだけ苦しみながら、あの時私に笑ってくれたんだろう。
30歳を目前に落ちてしまった恋は、一番泣いて一番苦しいものになるなんて
この時はまだ…気付いていなかった。
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