最後の恋


「腹減りません?そろそろ休憩しましょか」

「そうだね」


時計を見ると、もう午後2時前だった。

昼食をとることも忘れていた私達は遊園地の中にあるレストランに入り、私はパスタ、椎名はオムライス、それから日替わりスープをふたつ注文した。


「美味しいね」

「うん、あったまりますね」

外の寒さで冷えた体を温めるように私達は先に運ばれてきたスープを飲んだ。

温かいものはやっぱり落ち着く。

冷え切っていた体はすぐに元に戻っていった。


それからいろいろあーだこーだと話しながら食べていると、気付いたらもう3時過ぎ。

時間はあっという間に過ぎていく。


10時20分から始まった今日のデート。

もう4時間半も一緒にいるんだ。


「まだ何か乗りたい?」

「そうっすねぇ…ベタやけど観覧車とか。あとは…メリーゴーランド!」

「え?メリーゴーランド?」

「めっちゃ可愛いシンデレラの馬車があるんすよ」


へぇーっ、と相槌をうちながら、ふと思う。

この遊園地、来たことあるんだ?って。

来たことなきゃ、詳しいわけない。

現に私はこの遊園地初めてだしそんな可愛い馬車があることなんて今の今まで知らなかった。

まぁ、椎名だって23歳。それなりに恋愛をしていろんな場所でいろんな経験をしてきているんだろう。

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