最後の恋


「いや、俺の方こそごめん。もう言わんからこんなこと」


私たちはお互い、謝ってばかり。

謝って、謝られて。そしてお互い少し気を使う。

惹かれていくのに、その度にブレーキがかかるような気がした。


「じゃあ行きましょか!」


そう言って伝票を手にした椎名は先にレジに向かって歩いていく。


「ちょっと、ここは私が払うよ」

「いいですって」

そしてレジの前で横並びになり、また始まる。


「でもさっきも出してもらったし」

「いいってば」

「でも…」

「はいはい、向こうで待ってて」


椎名に軽く肩を押され、渋々動く足。

だけど年下にお金を払ってもらうのって、やっぱりしっくりこない。


まぁ、仕方ないか。年下と付き合うこと自体が初めてだからなのかもしれない。

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