最後の恋


「秘密にしてる今は、まだ莉奈さんに彼氏として認められてへんのかなって思ったりする」


椎名…


「でも俺、今日みんなの前でちゃんと言ったから。彼女できたって」


抱きしめられながら聞こえてくる言葉に、私は思わず椎名をギュっと抱きしめた。


隠していることは椎名にとって不安だったんだ。



「認めてるよ?彼氏だって」

「うん…」

「でも今言ったら早川さんの気に障るかもしれないし…そうだな…一ヶ月。一ヶ月経ったら私から早川さんにちゃんと話すよ」

「ほんまに!?」

「うん」


本心だった。

ちゃんと言わなきゃいけないと思った。


真剣に付き合い初めた今、本当にそう思った。


周りの目は怖い。

どんな噂を立てられるか分からない。

きっと女子社員からは陰口叩かれるに決まってる。



だけどこのまま椎名を不安なままにはさせたくない。

年が明けたらタイミングを見計らって早川さんにちゃんと話そう。

謝らなきゃいけない。

ウソをついていたこと。隠していたことを。

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